食品の衛生管理を効率的に行うにはHACCPの導入と運用が重要です。HACCPはハサップと呼ばれており、日本で2021年6月から全ての食品関連企業に導入と運用が義務付けられました。この衛生管理手法は宇宙食の安全性を確保するためアメリカで開発されましたが、世界中の食品業界からも高く評価されています。適切な方法で衛生管理を行い食品の安全性を向上させれば、食中毒などのトラブルを防いで円滑な事業運営が可能になります。

以前の食品業界では、包装から出荷までの段階で一部の製品に対する抜き打ち検査を行うのが主流でした。抜き打ち検査は一部の製品のみを調べるため効率的ですが、全ての不良品の出荷を防ぐことができません。誤って不良品が出荷されると食中毒などのトラブルが発生して大きな損害を被る可能性があります。より効果的な衛生管理を行うためにHACCPが重要な役割を果たしています。

HACCPは原材料の仕入れから出荷までの全ての工程を細分化し、事業所全体でチームを組んで衛生管理を行います。この手法では全てのスタッフが関与するため衛生管理に対する意識が向上します。微生物や化学物質、異物など食品に混入して健康被害をもたらす可能性があるものは危害要因と呼ばれます。危害要因による健康被害を予測した上で具体的な管理方法を決定します。

また加熱や冷却など特に重要な工程は重要管理点と呼ばれ、連続的かつ継続的な監視と記録を行います。HACCPを導入すると効率的に衛生管理を行い不良品の発生と出荷を防げます。万が一トラブルが起きたとしても問題のある工程が容易に分かるため、迅速かつ適切に対処できます。